サンシャインコーストの12か月

カナダ西海岸のサンシャインコーストより移住生活、地元の情報など発信します

【スピンオフ】香港への想い

こんにちは。今回は番外編で香港について。

カナダで暮らして3年以上が経ち、未だに香港での暮らしが恋しい私ですが、最近の香港の状況、特に破壊行為や暴力行為に胸を痛めています。香港へは観光や仕事で行ったことがある人も多いはず。それぞれおいしい中華料理など楽しい思い出があることでしょう。

私は24歳から20年近く香港で香港人と共に暮らしてきました。私にとって今の香港の現状を見るのはとてもつらいことです。香港で暮らす友人のことも大変心配しています。

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-私が知っている香港人- 香港がこれまで見せてくれた日常の暮らし

  • 親戚や同僚とランチや週末は、いつも和やかに、時に大声で冗談の掛け合いをしながら大きな円卓で飲茶を楽しむ。その間、お茶を注いで回るのは男性の役割。
  • 家庭での料理担当は男性のことが多く、女性は子供がいてもバリバリ働く。
  • みんな外食が大好き。そしてどんなに高級な店でもテイクアウトを用意してくれる。
  • 老若男女問わず、株が大好きで、投資が上手。お金の話もみなオープンにする。
  • つっけんどんな物言いのおばちゃんやおじちゃんが街中の商店にあふれている。でも客に対して無視は絶対にしない。言葉が通じなくてもお構いなし。人情があって実は必要以上に助けてくれたりする。
  • 97年の返還の時はみんなで下手くそなマンダリンを笑いあっていたけれど、気がついたらいつのまにかみんな話せるようになっている。
  • お金持ちの男性は、広東語で「ヤウチンシンサーン」と公然と皆に肩書をつけられ、彼の恋バナや、ガールフレンドとの不倫やら離婚の噂は芸能人のネタ以上に盛り上がる。
  • 白人の男性はランカイフォンのバーで香港人の女の子と出会い、いろいろな意味で衝撃を受け恋に落ちる。彼らが出会う香港の女性の多くは賢くキャリアもあり、自分の意見ははっきり言い、そのうえスタイル抜群。
  • 日本のカルチャーと日本料理が大好きで、スーパーには世界中の商品が並ぶなか、キューピーのごまドレッシングはどこでも手に入る。
  • タクシーに乗ったら最近は中国人?と聞かれ、つぎに韓国人?と聞かれ、「日本人」と答えると、得意げに(バブル時代に日本人観光客相手に習得した)自分の日本語を披露してくれる運転手たち。
  • 子供や若者は普通に地下鉄で老人にすぐ席を譲り、慌ただしい街中では祖父母の手を引いて歩いていく。

私はこうした日常の暮らしを通して香港人を知り、香港が第二の故郷といえるほど親しみを感じています。20年近く暮らす中で時に日本を懐かしく思うこともありましたが、香港は私に大切なことをたくさん教えてくれたと思っています。
そのため、今映像で見る香港の姿は私の暮らした香港や私が知っている香港人の暮らしとはあまりにかけ離れていてとても衝撃を受けています。

最近は特に度を越した若者を中心とした破壊行為が報道されています。こうした危険で日常生活に大きな影響を与える行為は、社会に迷惑をかけすぎだとして批判的な分析や意見もよく見るようになってきました。
私も「そんなことしても、みんなに迷惑がかかるだけでなんの解決にもならないよ。」と思っています。

でも、こうした暴動の影で、香港政府の対応は非常に不明瞭です。
ここまで長期化した非日常的な状況を受けて、毎日定時に政府の広報官などから現状を説明する会見を行うのが一般的ではないでしょうか?
さらに香港は世界屈指の金融都市であり現状は国際企業に深刻な影響を与えています。それなのに広東語のみならず英語での政府としての公式な情報発信が少なすぎます。
また、本当に危険極まる行為を行っている人は実名や写真を公開して、逮捕したらそれを皆の前で公表するべきではないでしょうか。
そうでないと今の映像やニュースだけではまるで「デモを行っている人は全員クロ」みたいな印象を与えていると思います。

そして警察との衝突・・・
そもそも香港の法律で警察はどこまでの権力が与えられいて、どのような対処をすることが許されているのか全然わかりません。
警察が自分たちの行っている行為をすべて正当化するのであれば、毎日の状況を警察の広報担当が記者会見なりニュースとして発表する場があるべきではないでしょうか?
警察は、暴動の大きさに関係なく毎日粛々と、暴動がどこで起こって、逮捕者が何人、負傷者何人という情報を公式に発表する義務があるのではないでしょうか。
一方で警官の逮捕の仕方や拘束者への対応に関する情報は、いろいろなところで流されていて、かなり衝撃的な写真や映像が掲載されていることがあります。
そうした中、今回のAmnestyの記事ではかなりショッキングな状況が報告されています。
警官はここまでのことをする必要があるのか?
誰が、どうして、警官に公務員としての責務を逸脱し、
自らの感情を爆発させているように見える暴力行為をさせているのでしょうか。
こういう警官による必要以上の暴力行為に関する情報が若者の間で常にタイムリーに共有されているとしたら、彼らの不安や恐怖を煽るだけでなく強い怒りや復讐心を生むことが容易に想像できます。
彼らの怒りや復讐心に火をつけているとするならば、それはまさに警官の暴力との負の連鎖の結果でしょう。

www.amnesty.org

香港は1997年に中国に返還され、香港が中国の一部であることは事実であり、それは香港人が一番わかっていることです。
「一国二制度」という制度は世界中見渡してもどこにもないしくみであり、そのことから生まれる色々な恩恵も弊害も、まったく未知数の中から全部受け止めてやってきたのが香港だし、香港人だからこそやってこれたとも思うのです。
香港は、イギリス領時代も、中国文化革命の時代も、返還の時も、SARS流行の時も、アジア通貨危機の時も困難に直面してきました。
そして香港に暮らす人々は常に解決策を模索してうまく立ち回り、さらに発展を続けてきました。
今の若者もそういう大人の背中を見て育ってきています。
私は若者たちがこれからも香港人らしいDNAを大人から引き継ぎ、賢く立ち回る術を身につけていってほしいと思っています。

海外にいると、香港が平和な街に戻ることをただただ祈るしかないのがもどかしいです。
それでも、何よりも香港人が安全で幸せだと感じる社会が訪れることを祈っています。