サンシャインコーストの12か月

カナダ西海岸のサンシャインコーストより移住生活、地元の情報など発信します

香港は第二の故郷か本当の故郷か??

旅行が好きな人や、海外に暮らしている方は自分が利用する飛行場にそれぞれの「匂い」があると感じたことはあるでしょうか?私の場合、香港の空港、成田空港、バンクーバー国際空港などの「匂い」をはっきりと認識しています。

これまで香港に20年近く住んでいたので、その間、日本や海外から飛行機で香港に戻るとまず空港のゲートの「匂い」から「帰ってきた」と感じていました。

そしてその匂いを受けいれるや否や、歩くエスカレーターをどんどん歩き、足早にIDカードで自動改札を抜け、荷物台から荷物を受け取り、こうした一連の超スピーディーな手続きが、私を一気に「帰って来たモード」全開にしてくれたものでした。

とにかくせっかちな町、香港。

香港は基本的に道に歩道がないか、あってもとても狭いのですが、一人で道を歩くときはどんどん人を追い抜いて歩いていくのは当たり前。
レストランでは食事中でも食べ終わった皿はさっさと片付けられていき、お勘定は頼んだそばから伝票が用意されて会計終了。
スタバのオーダーの早さはおそらく世界一。
銀行のATMはすべて24時間オープンでいつでもお金をおろすことができる。
タクシーに15分位乗ればほとんど行きたいところにたどり着いてしまう…等々。

そして香港では基本的に「回りの目を気にする」という感覚を持ち合わせている人をみかけないので、そうした友人や同僚に囲まれていると、これもまた慣れてしまい、恐ろしく自由?で自分らしく??生きる人間になってしまいます。

そんなわけで、20年も香港で暮らすとせっかちで、他人の目を気にしない変な日本人となります。日本に帰ると自分の言動が浮きまくっていることに気がつき、かなり居心地の悪い思いをします。

たとえば日本に滞在中、
横断歩道を赤信号でも車を気にしながら渡ろうとしてしまう。
話ことばに英単語が混ざりまくる。(英語のほうが言い回しが簡潔で、話が手短に終わるため)
一緒に歩いている友達に歩くのが早すぎると笑われる。
エスカレーターの速度がゆっくりすぎて逆につまずきそうになる
電車の中や公共の場での話し声が大きすぎる・・・等々。

こうした自分の「異質」さに気がついた途端、周囲に謝りながら、恐縮しながら歩くはめになります(汗)。一応、自分の中に人生前半の普通の日本人気質も残っているのでしょうか。
結局一時帰国の最後のほうでは「あー疲れた」となってしまうわけです。

唯一日本に帰ってきて「日本は私の故郷」と思う瞬間、それはやはり家族や友人と再会した時です。自分の過去を知っている人と時間を共にするという機会は私の中でゆっくりと自分の中で眠っている日本人的な部分を思い出させてくれるし、丁寧な話し方や生き方を見聞きし、豊かな食生活を共にするとホッとする自分がいます。 

日本はやっぱりいいなあ、、、落ち着くなあ、、、なんてしみじみと日本の良さを実感する瞬間。
そんな思いを抱えながらたくさんのお土産と共に香港に帰っていました。ところが飛行機が香港の空港に着陸するや否や、まだ完全に機体が停止する前から携帯電話の着信音が前後左右の座席から響きわたってきて、、、周囲にせかされながらゲートまでくれば香港空港だけの「匂い」がお出迎え・・・もれなく「帰ってきたー」と感じてしまう私がいたのでした(笑)。

そして今はカナダの片田舎で暮らしています。
とにかく田舎なので、白人とネイティブインディアン以外の有色人種系のカナダ人は極端に少ない社会で暮らしています。そのためアジア人の私は結構珍しい存在で、私自身もまだよそ者の気分が抜けていません。
それでも、こうした田舎ならではのスーパーナイスでフレンドリーなカナダ人の親切に日々触れるにつれ、私もいつか彼らのように心の広い人間になれるかなあ、せっかちな香港気質も抜けてくるのかなーと思う今日この頃なのでした。